大学では海洋地質学を学びました。
その関係で卒業後はサルベージ会社に就職しました。
その会社には海洋調査部なるものがありました。
てっきり、専門を生かした仕事をするものだと思っていましたが、
初めは甲板員、作業員あるいは潜水夫といったものをさせられました。
炎天下の鉄板甲板、汚染で視界のない海中、
肉体的にも厳しい仕事でしたが、
それはそれで、それを楽しんでいました。
嵐の夜、伊豆大島近くで機関停止で漂流している貨物船を曳航しに出動した時、
氷を割っての潜水。波止場から転落した車に玉掛けワイヤーを付けに潜った時、
妙にワクワクしたのを覚えています。
やがて、本来の業務である海洋調査、測量の仕事をするようになりました。
洋上での調査作業、ここまでは良かった。でもそれがが終了すると、
陸に上がっての報告書書きが待っていたのです。
会社は東京新橋にあり、そこまで実家から満員電車の通勤になります。
私は、この通勤に参ってしまいました。
こんな過酷な世界があるとは知りませんでした。
航海初めには船酔いをする性質でしたが、まだ波に翻弄されるほうがまし、
命に係わる危険がある深海潜水のほうがストレスが少ないとさえ感じました。
これを続ける忍耐はないと悟りました。
普通に転職も考えましたが、
先のことを考えると、手に職をつけておいたほう良いと思ったのです。
職人さんの修行をするには、歳がいき過ぎていると判断したので、
何かしらの資格を取ることにしました。
喰いっぱぐれがない資格はと考えて、思い浮かんだのが医者か弁護士。
そして、理系の脳の私は、医者になろうと決めました。
まあ、ここでも思いつきなのですがね。